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目で見てわかる昔の日本語と今の日本語
山元啓史
東京工業大学
水曜日10:00〜17:00(西1号館1階ラウンジ)
目で見てわかる昔の日本語と今の日本語
タイムマシンに乗らすに行ける昔の世界
(2015.01.14)の授業
○は個人、◎はグループ、・は山元先生
- 9:57 科研費の説明
- 120万〜30万にプラスして、特定研究では10億を超える科研費が貰える。
- 10:01 参加者の自己紹介
- 中学生
- ○グレープジュースが好き。
- ○趣味はサッカー、本田選手が好き。
- ○フルーツが好き。特にイチゴが好き。
- ○バレーボールが好き。
- ○アイスのパピコが好き。
- ○鉱物が好き。琥珀が好き。
- ○生物部に所属している。
- ○アメフト部に所属している。
- ○テニスが好き。
- ○バスケットボールが好き。
- ○電車が好き。
- ○手話部に所属している。
- ○水泳が好き。1日2km泳いでいる。
- ○ウナギが好き。
- ○和菓子が好き。
- ○水泳が好き。バタフライが得意。
- ○バドミントン部に所属している。
- ご父兄
- ○日本語について何か学びたい。
- ○学生時代に言語学を学んでいて興味が会った。
- ○学部時代に文学部で、文学と工学の融合に興味があった。
- ○大学見学を兼ねて来た。
- ○将来に繋がるきっかけ作りに来た。
- ○学園祭にも来ていた。
- ○誘われて、数年ぶりに来た。以前、洗足に住んでいた。
- ○すずかけ台には行ったことがあった。
- ○本日をかわきりに色んな所に行こうと思っている。
- アシスタント
- ○音楽の研究をしている。主にモーツァルト。
- ○留学生に日本語を教えている。
- ○和歌、古今和歌集の研究をしている。
- ○研究企画課から、写真撮影の承諾。
- ・水分、トイレは適宜
- ・今日は大学生のつもりで参加してほしい。
- ・配布物の確認。(ボールペン、国語便覧、メモ、関数電卓、パンフレット、オリジナルはがき、ワークブック)
- ・電卓の準備。
- ・一日の流れの説明。
- 10:28 ・大学の勉強からは、どんな答えを出しても良い。
- ・問題が何か考えるのが大学の勉強。
- ・「目次」の「はじめに」「材料」「方法」「結果」「考察」「おわりに」は論文やレポートの書き方。
- ・「おわりに」の最後には参考資料一覧をつける。
- 10:32 第1章 はじめに
- 1.1 ことばについて話そう!
- 問1 世界に言語はいくつあるか。
- ◎〜語などや、人口の数だけある。
- ◎1カ国3言語ずつ程度。
- ◎方言を入れて500くらい。
- ◎1カ国2言語ずつ程度で400ぐらい。
- ◎500くらい。
- 10:38 ・少なくとも7102はある。
- ・中国語などに見られるように、方言を含めると更に増える。
- ・12,800万人いる日本人も、様々な言語を話している。
- ・1つの国で1つの言語と示されているのは、ヒンディー、日本などと言われている。
- ・1つの国で1言語というのは本当は存在しない。
- ・日本が話され始めたのは1000年以上前で最古。
- ・英語はさかのぼれて、せいぜい14世紀までで、それ以前は、ゲルマン語(のちのドイツ語)とラテン語(のちのフランス語など)に分かれてしまう。
- 10:44 問2 知っている言語の名前は何か。
- ◎スワヒリ語
- ◎アイヌ語
- ◎ポルトガル語
- ◎ギリシャ語
- ◎マレー語
- ◎スペイン語
- ◎イヌイット
- ◎インディアン
- ◎ポーランド語
- ◎ユダヤ
- 10:47 問3 外国語が話せる人は自己紹介を外国語でしてみる。
- ○こんにちはだけでも話せるの内に入るのか。
- ・外国語みたいに話せるか。
- ○にゅにゃにゃー
- ・言語にはそれぞれ特徴がある。
- 10:52 問4 世界の言語の中で日本語はどんな特徴があるか。
- ◎SVOなどの語順。
- ◎濁音は韓国人は話せない。
- ◎日本語に単語や熟語の意味の変動はない。
- ◎文字体系(漢平片)
- ◎音節が少ない。
- ◎5つの母音で成り立つ。
- ◎英語には主語述語、日本語では入れ替わっても意味が伝わる。
- ◎敬語がある。
- 11:04 休憩
- 11:12 日本語教育について
- ・33年、外国人に日本語を教えている。
- ・日本人が日本語を学んでいることを「習得」と言う。
- ・留学生に実践的に、使いながらで学ぶ語学学習方法を実践している(レストランへ行ったり、ロボットを作ることを通して、日本語で聞いたり、説明したり、など)。
- ・πを3と教えられても、自分で学べるようにしていかないといけない。
- 11:17 問5 日本語の品詞には何があるか。
- ◎副詞、助詞、助動詞、接続詞、助副詞、連体詞、接続助詞、数詞、形容詞、形容動詞、感動詞、代名詞、格助詞
- ・連体詞は名詞をしない言葉で活用しないもの。
- ・接続助詞は「が」など。
- ・副助詞は「は」等、格助詞に特別な意味を加えるもの。
- 問6 英語の品詞は何があるか。
- ◎前置詞、形容詞、名詞、目的語、副詞、接続語、be動詞、不定詞、動名詞
- ・一般動詞、have動詞もある。
- 問7 日本語の文の成分には何があるか。
- 問8 英語の文の成分には何があるか。
- ・SVO
- ・目的語に使われるのは、主語、述語。他には、補語、修飾語、被修飾語など。
- 問9 日本語と英語の成分の語順
- ・SOVとSVO
- 11:32 1.2 昔のことばってどんな意味?
- ・言葉の形は長く変わらないが、意味はどんどん変わっていく。
- 11:33 問10 昔の日本のことばを想像してみよう。
- ◎訛っている。
- ◎違う意味。
- ◎訓読みが違う。
- ◎「わらわ」とか。
- ◎「ゐ」など。
- ◎一文が長い。
- 11:38 問11 未来の日本のことばを想像してみよう。
- ◎単語の省略が起こる。
- ◎単語の繋がりが省略される。
- ◎外来語に影響される。
- ◎発音し易くなる。
- ◎「ら抜き言葉」のようにどんどん短くなる。
- ◎1単語に含まれるの意味が増える。
- ◎漢字の画数が減る。
- ・簡体字。中国語の文字は簡単に書かれる簡体字が使われているが、最近、元の漢字が使われるようになっている。どうしてか。
- →(アシスタント)コンピュータ入力。
- ・「憂鬱」や「推薦」など、書けるか。書けない?草冠+鹿+鳥・・・象形文字のようにイメージすると良い。
- ・日本語でも「憂鬱」や「推薦」など、書けないのに、コンピュータにより、簡単に変換して、使っている。
- ・日本語で起きていることは、他の言語でも起きている。その考え方を大切に。
- 11:53 1.3 知っている昔のことばを書いてみよう!
- 問12 テレビで見るお侍さんの言葉でも良いし、童話に出てくるお姫さまのことばでもいい。たくさん書いてみよう。
- ◎「貴様」
- ◎「貴公」
- ◎「拙者」「候」
- ◎「汝」「朕」
- ◎「曙」
- 11:57 お昼(サンドウィッチとデニッシュを1つずつ)
- 12:55 1.4 昔のことばを読んでみよう!
- 問17 和歌はどんな文学か。
- ○一定のリズムでできている。
- ・31文字。
- ・昔は本当に歌っていたので、和歌と呼ばれる。
- ・口から出ることば、だから話ことばが前提。
- 12:59 問18 古今和歌集はどんな作品か。
- ・「今」は905年当時の「今」の事。
- ○万葉集から140年の間にあまれた勅撰和歌集。
- ・「撰」の字に注意。
- ○優美で華やか。
- ○理知的で繊細。
- ○140年間の名歌を集めたもの。
- ・仮名で書かれた初めての勅撰和歌集。つまり、音が分かる。
- ・50音は仮名文学から始まっている。
- 13:06 問19 絵を見ながら、つぎの和歌を読んでみよう。どういう
場面か。
- 「もみじ葉を袖にこき入れて持ていでなむ秋は限りと見む人のため」
- ・謡曲風に詠んでいたかは定かではない。
- ・絵と歌では何が違うだろうか。
- ・「む」は願望の意。
- ・「雅」を重んじるので、食べ物や汚いものは歌に詠まない。
- ・「出家」は家出ではなく、お坊さんになって仏教の世界に入ること。
- ・「俗世間を離れるため」は建て前で、仕事をしたくないというのが本音かもしれない。
- ・教科書には載っていることだけでなく、載っていないことも考えよう。
- 13:25 問20 絵のないつぎの歌を読んで、その場面を考えてみよう。
- 「折りつれば袖こそ匂へ梅の花ありとやここに鶯のなく」
- ○梅の花を折ったので、袖が匂って、鶯が袖に来て鳴く。
- ・この歌は事実を詠っている訳ではない。
- ・勅撰和歌集だからといって、すべてがまじめに書かれているわけではない。
- ・今の人の感覚で読んでも良い。
- 13:35 問21 鶯はどんな鳥か。
- ○鶯は梅が好き。
- 問22 鶯と梅はどんな関係にあるか。
- ○春っぽい感じがする。
- ○鳥だけでは春っぽく感じない。
- ・取り合わせによって意味が決定する。
- ・現在での「花」を使った言葉は何か。
- ○「花道」
- ・昔は「花道」という言葉はあっただろうか。分からない。
- 12:38 問23 「うぐいす」と「ほととぎす」の絵を見て、どう違うと思うか。
- ○「鶯」は明るい、「ほととぎす」は寂しい。
- ○「ほととぎす」はすばやい。強い。
- ・「特徴」とは、比較する事でみつけられるものである。比べる事が研究である。
- ・「特徴」は、形容詞や形容動詞で表される。
- 13:45 問24 4番歌(鶯)と135番歌(時鳥)を詠んで、どんな感じがするか。
- ・「郭公」も「ほととぎす」
- ・いろいろな可能性を考える。
- ・似ているという言葉はどんな意味か。
- ○違っている所もあると言うこと。
- ○叙情的で優雅。/勢いを感じる。
- ○柔らかい。/しなやか。
- ○擬人化している。
- 13:56 1.5 リサーチクエスチョン
- 問25 リサーチクエスチョンとは何か。
- ・イエスかノーかを結果で得られる問題の事。
- 問26 どんなことがわかっていないか、何を知りたいか、考えてみよう。
- 14:01 Q:グラフを見て、2つの鳥が全然違うのか、似ているのか考えよう。
- ◎共通点が3つしかないから似ていない。
- ◎似ている。3つも共通点がある。
- ・2つよりも多いから3つも、と言ったのなら、何を比較したのか。
- ◎蝉とか魚とか。
- ◎時鳥に組み合わせられる言葉は堅い感じがする。
- ◎現代人とは感覚が違うのだと思った。
- ・和歌の中での鳥であることに留意する。
- ・コンピューターで計算すれば、1111首詠まなくても分かる事がある。
- 14:11 休憩、アンケート用紙配布。
- 14:23 第2章 材料
- ・和歌は31文字で終わっているので使い易い。
- ・八代集5400首を比べる事が出来る。
- 2.1 文を作る
- 問27 簡単な文を作る。
- 14:24 2.2 文節を分ける
- ・橋本進吉が学校文法を作った。
- 問28作った文を文節で分ける。
- 14:24 問29 「ね」を入れながら文節で句切る。
- (1)坊主が/屏風に/上手に/坊主の/絵を/描いた。
- (2)この杭は/引きにくい/杭だ。
- (3)お綾や、/親に/お謝り!/お綾や、/「お湯屋に/行く」と/八百屋に/お言い!
- 問30 簡単な文を作って、「ね」を入れながら文を読む。
- 問31 文節にはどんな特徴があるか。
- 14:28 2.3 単語に分ける
- 問32 さきほどの文節に分けたものを、もっと小さく単語に分ける。
- 問33 次の文を単語に分けよう。
- (1)私/は/今日/初めて/東京工業大学/に/来/まし/た。
- ・「初めて」は副詞でも連用形でも捉えられる。
- ・東京工業大学を3つに分けてしまうと、単語リストから消えてしまう。
- ・言語学では単語の定義がない。作業上の方法論として研究が進められている。
- (2)どこ/で/生まれ/た/か/とんと/見当/が/つか/ぬ。
- (3)ある/日/の/暮れ方/の/事/で/ある。/一人/の/下人/が、/羅生門/の/下/で/雨やみ/を/待っ/て/い/た。
- ・「っ」は、促音便と言う。
- (4)国境/の/長い/トンネル/を/抜ける/と/雪国/で/あっ/た。
- 14:40 2.4 ペアを作る
- ・意味は比較すると分かる。
- ・3つ組は要らない。ペアの掛け合わせを用いればいい。
- 問34 さきほどの自分が作った文の単語を使って、ペアのリストを作る。
- 14:44 第3章 方法
- 3.1 めずらしい語といつも見る語
- 問35 どこでも見られることばを書いてみよう。
- ○名詞、数字
- ○句読点
- ○動詞
- ○接続詞
- ○です、ます、だろう、でしょう
- ・「文末」は、検索しても意味のないもの。
- 問36 今度はどこでも見られないめずらしいことばを書いてみよう。
- ○死語
- ○専門用語
- ○隠語
- 14:54 3.2 「文書頻度」という考え方
- ・何処でも見られるか、そうでないか。
- 問37 100の文章があったとして、そのすべてにでてくることばは何か。
- ・助詞、です、ます、だ。
- 問38 100の文章のうち、10の文章ぐらいに出てくることばにはどんなものがあるか。
- ・人の名前はほとんど出ない。
- 14:57 3.3 単語に重さをつける
- ・インバースとはひっくり返すと言う意味。つまり、逆数を作る。
- ・頻度が高いと値は小さくなる。
- 問39 つぎのことばのidfを計算してみよう。
- ・1000を26で割って、その値のまま「log」ボタンを押す。
- ・値が大きいと言う事は、重みが高いと言うこと。
- 15:04 もの作りセンター、Meister(鳥人間コンテスト)、ロボット技術研究会(NHKロボコン)の見学
- 16:00 ・飛行機はどうだったか。
- ○大きかった。
- ○言葉では表せない感動があった。
- ○30kgしかないのには驚いた。
- ・4tトラックで運ぶ。
- ○乗ってみたかった。
- ○持ったら軽くて驚いた。
- ○羽が長かった。飛びにくそうだった。
- ・羽の角度は何度も調節する。
- ○空港で見る飛行機のようだった。
- ○実物に触れられた。
- ○機体を軽くする工夫がすごかった。
- ・工場に泊まり込んで作業している。
- ○壊れないか不思議だった。
- 16:06 家で計算しよう。
- 「梅」23首
- 「桜」43首
- 「居る」111首
- 「鳴く」104首
- 「に」871首
- 「を」462首
- 16:07 3.4 idfの計算方法
- 3.5 tf・idfの計算方法
- ・tfは頻度
- 問40tf(t)=26,t=26,N=1000を代入して計算してみよう。
- 16:08 3.6 対数
- 問41 100メートル走の1秒とフルマラソンの1秒の差ではどちらが競り合っていたか。
- ・速いマラソン選手は2時間8分くらいで走る。
- ・ボルトの9秒。
- 16:13 問42 人間の感覚にはどんなものがあるか。
- ◎五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)
- ◎重さ
- ・定義を覚えるよりも、対数を使うとなぜ便利なのかを知る。
- 16:17 3.7グラフ理論超簡単入門
- ・グラフは2つのものを結ぶ線の事。
- ・3000年ある数学の歴史を、言語に利用する事が出来る。
- ・絵は継ぎ接ぎできないが、データにすればそれが出来る。
- 16:26 第4章 結果
- 4.1 知りたいことばをプリントアウトしてみよう!
- 問43 家に帰ってやってみよう。
- 16:34 4.2 2つのことばを比較しよう!
- ・吉野は桜の名所かどうか。新古今和歌集から関連づけられていたとされているが、データでは抽出されない。
- ・金葉集では出て来た。
- ・花と言えば桜、という常識になれば「桜」という言葉が出てこない。
- ・現在の言語と同じ。車といえば、乗用車のことで、乳母車や牛車のことではない。
- ・古今集では桜よりも梅の方が様々な語と一緒に詠まれている。
- 16:36 第5章 考察
- 5.1 ことばの意味はどんな意味?
- 問45 ネットワークの図を見ながら、どんな意味があるのか考えよう。
- 5.2 この意味はいつまでこの意味?
- 問46 ことばの意味は同じ意味がずっと続くのか、どんどん変わるか。
- 16:37 第6章 おわりに
- 6.1 ここまでをまとめてみよう!
- ・昔を知るには想像力を働かせること。
- ・似ていると言うことが認められたら、違いを発見する。
- 問47 どうすれば2つのものを比べることが出来るか。
- 問48 自分の経験で今までに比べたことがあるものを書いてみよう。
- 問49 比べた結果、どんな特徴が2つのものにあるか。
- 6.2 今日のセミナーを夏休み自由課題として書いてみよう。
- 16:39 修了証書と木綿付け鳥のプリント配布
- 16:45 アンケート記入
- 16:47 写真撮影
- 16:48 終了